初秋の小浜街歩き 【舞鶴山遊会】

 今年度の街歩き企画では若狭小浜を訪ねました。古くから都との歴史的、文化的、又商業的な結びつきが深く、「若狭の小京都」「海のある奈良」とも呼ばれてきました。
 今回は東小浜地区の寺院と市内の趣溢れる街並みをゆっくりと堪能することが出来ました。当日は秋雨の降る天候でしたが、山並みや樹々がより美しさを増し、街もしっとり落ち着いた佇まいを見せていました。

小浜市内概略図、赤線枠は今回訪れた主なスポット

東小浜の古刹を訪ねる 明通寺・神宮寺

 東小浜地区の「海と都をつなぐ若狭の往来文化遺産群」として日本遺産に認定されている八ヶ寺は文化財の宝庫とも呼ばれています。今回はその中で明通寺と神宮寺を訪ねました。これらの寺院はいずれも古い歴史と重要な仏像・建築を今に伝え、静かな山懐に抱かれて点在しています。それぞれのお寺で謂れや歴史、有する文化財などの説法を伺い、貴重な時間を過ごすことが出来ました。

明通寺

 西暦806年、時の征夷大将軍、坂上田村麻呂が戦いの相手を供養するために平和を願って建立した寺院で、本堂と三重塔は建造物としては福井県唯一の国宝に指定されています。境内はカヤの巨木や桜や楓、紫陽花など多くの樹々や草花に彩られた緑豊かな美しいお寺でした。

神宮寺

 全国的にも珍しい、現存している神仏混淆寺院で、本堂内には神様と仏様が祀られています。毎年3月2日に奈良・東大寺二月堂に御香水を送る「お水送り」の神事が行われます。

鵜の瀬

 小浜市に流れる遠敷川の中流域。神宮寺の「お水送り」の神事で汲まれた御香水は、ここ鵜の瀬から送られ約10日かけて奈良・東大寺二月堂の若狭井に湧き出すとされています。名水百選にも選定されています。

小浜街歩き 西組三丁町など

 江戸時代、小浜藩の城下町は若狭湾沿いを東から西へ伸びる丹後街道を中心に発展し、地理的な配置や役割に応じて大きく「東組」「中組」「西組」の3つに区画されました。その中で現代でも「西組」は江戸時代から明治・大正期にかけての町家、寺町、細い路地などの街並みが色濃く残り、国の「重要伝統的建造物群保存地区」に選定されています。
 往時、北前船の寄港地として栄えた小浜。特に三丁町は旧花街(料亭街)として賑わい、ベンガラ格子の建物などがその風情を今に伝えています。これらの街並みを昼食をはさんで午後から地元のボランティアガイドさんの説明を伺いながら散策することが出来ました。

三丁町を中心とした西組の街並み

 どこか懐かしさを感じる日本の原風景の様な建物、街並みが続いていました。

蓬嶋楼(ほうとうろう)

 蓬嶋楼は明治期に開業した三丁町最大の料亭です。当時の姿そのままに、現在は土、日、祝日にガイドさんが常駐し、一般公開されています。玄関の床は青と白のレトロなタイル貼り。女将が使用したであろう長火鉢の帳場と大きな金庫。お座敷には漆を重ねて作られた木のシャンデリア、木組みと和紙のコントラストが美しく、閉め方によって模様が様々に変化する障子、様々な掛軸や書画などなど。贅を尽くした当時の茶屋文化を垣間見ることが出来ました。

 西組の訪問を終えた後、新しく整備され文化の拠点になっている旭座や鯖街道ミュージックも訪ねて、今回の街歩きを終了しました。
 東小浜の静寂の中に佇む古刹、かっての華やぎを今に留める旧市街、そして新しい賑わいを創出しようとする街並みなどなど。
 多面性豊かな小浜の町を、随所で丁寧な説明をお聞きすることでより興味深さを増し、充実した一日を過ごすことが出来ました。