遭難だけじゃない 感染にも備える「新しい登山文化」とは 【山岳医療救助機構】

毎日新聞によると
新型コロナウイルスの感染拡大で、登山の自粛が続く中、国際山岳医の大城和恵さん(52)が再開に向けての手引を作成した。大城さんは「これからは、遭難だけでなく感染のリスクも考えた『新しい登山文化』をつくらないといけない」と呼び掛けている。

毎日新聞より引用

【人との接触を8割減らす10のポイント】
 「登山再開に向けた知識 計画と準備編」と題した手引は米疾病対策センター(CDC)の情報に基づき作成。登山自粛の解除基準は「行政が判断する」とした上で、新型コロナウイルスの基本的知識に始まり、山小屋の利用再開や登山する際の注意事項を記載した。手引は、医師や山岳救助関係者らでつくる「山岳医療救助機構」のサイト(https://sangakui.jp/)で公開している。

大城さんは長野市出身。北海道大野記念病院(札幌市)に勤務する傍ら、同機構の代表や県山岳遭難対策特別アドバイザーを務める。登山の自粛は、4月初めから率先して呼び掛けてきた。県も、改正新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく外出自粛要請には登山が含まれると指摘。ゴールデンウイーク期間中には登山者に来県を控えるようキャンペーンを実施した。キャンペーンが奏功し、県は期間中の登山者は2019年同期比で8~9割減を見込む。緊急事態宣言発令中の31日までは登山の自粛要請を続ける予定。現在、県内の山小屋はほぼ全てとなる150カ所が休業し、主要登山口の駐車場は70カ所が閉鎖されている

だが、自粛だけ続けるわけにはいかない。大城さんは「登山再開に向けた『出口対策』が必要」といい、登山者の感染対策に関する知識や懸念事項など実態把握のためアンケートを実施した。インターネットを通じて4月27日~5月6日に1458人の登山者や山岳ガイド、山小屋関係者らから回答を得た。
「登山自粛の解除後、どのように登山を行うか」(複数回答)の質問に対し、マイカー移動55・2%▽マスク着用、3密(密閉、密集、密接)回避など48・6%▽移動の少ない近郊の山を選ぶ47・7%――など。解除後のため感染対策は行わないと回答したのは1・7%だった。大城さんは「感染防止対策を取りながら登ろうとする慎重な意識がうかがえる」と指摘する。
一方、回答者から感染予防策や山小屋の対応などの質問が寄せられ、それに沿った形で手引を執筆。特に山小屋は「3密」のため「山小屋の利用再開に向けて」の項目を設けた。管理者だけに限らず、登山者の協力も必要とする。例えば、山小屋の屋外にスクリーニングブース(検査部屋)を設置し、検温や健康状態の確認をするよう提案している。

大城さんは「コロナがすぐに終息するわけではなく、共存することになる。登山者自身が変わらないといけない」と訴える。「登山はリスクコントロールしながら自然を楽しむこと。そこにコロナというリスクが加わり、感染予防策をするのが『新しい登山文化』になる」と強調する。

引用元 毎日新聞

主なのポイント

  • マスク着用、ソーシャルディスタンス(社会的距離)の確保、手洗いの徹底
  • アルコールジェルやティッシュ、ジッパー付きの保存袋(ごみ袋用)などを準備
  • はなをかんだ後はジッパー付きの保存袋に入れるなどごみは各自で持ち帰る
  • できればテントに泊まり、1人で使う
  • 山小屋内ではマスクを着用
  • できれば宿泊者が使う布団や枕、座布団などは撤去する
  • 山小屋に泊まる場合でも登山者に寝袋やマットを持参してもらう
  • 消毒しやすいよう、げた箱や床などをビニールで覆う。畳や布などはアルコール消毒しづらい
  • 就寝スペースは全方向に2㍍間隔を空ける(2畳に1人)
  • スクリーニングブースを設置し、できれば防護服を着たスタッフを配置する

「登山はリスクコントロールしながら自然を楽しむこと。そこにコロナというリスクが加わり、感染予防策をするのが『新しい登山文化』になる」
京都府は特定警戒地域に指定され外出自粛要請も続いています。(5月16日)