鹿倉山(三和町) 【個人山行】

福知山親名山10選(大江山・赤石ヶ岳・三岳山・宝山・鬼ケ城・烏ヶ岳・岩戸山・姫髪山・烏帽子山・鹿倉山)に
選ばれている鹿倉山は、中世に栄えた寺や神社などがあり古くからの信仰の山として栄えていたらしい。
山の中腹にある「轟の水」は、今でも地域では飲料水として使われており、それにまつわる民話は今も語り継がれている。また、毎年1月2日に新春登山が実施され、地域の方に親しまれている山である。
梅雨明けと共に猛暑の夏が来たが、かねてより登ってみたい山だったので・・・コロナ対策と共に熱中症対策も万全にして・・・というか、「無理せず行けるところまで行ってみよう」的な気持ちでゆっくりペースで行くことに。

三和町のローソンに集合して、各自の車で登山口へ。案内看板があり、コースを確認して深山林道を歩く。途中、ヒカゲカズラの胞子を発見。茎から垂直に立ち上がった薄黄色の胞子が可愛らしい。林道の終点は車が回転できるように広くなっており、ここに熊野権現神社がある。


(標高358m)神社の左手からスギ林の中をジグザグに登って行く。スギ林が終わると岩場となり、なかなかの急登を我慢しながら一歩一歩登ると、「烏帽子岩」に到着!!!ここからの眺望がすばらしく、菟原の集落や西紀のゴルフ場がきれいに見えた。重なった山並みのグラデーションも最高!!涼しい風も吹いて、まさに頑張ったご褒美(*^)v

ここから山頂までは楽な道のりで、「人面岩」が楽しませてくれてテンションもアップ。 山頂からは、福知山の市街地や三岳山・大江山などが見渡せ、「来てよかったねえ。」「いい山やねえ。」とみんな満足満足。風も吹いて気持ちょく、食事をしたり自然観察をしたり・・・・アオスジアゲハのきれいな舞にうっとりしたり、コガネムシに似た昆虫を筒の中の泥水から救出したり・・・女性陣がまったりと過ごしている間に、Sさんは「天狗岩」の探検に行かれたが「どう見たら天狗なんかなあ・・・」という感じの岩だったらしい。

下山は、尾根筋をたどり桑原分岐から深山林道へ。途中で、「この林道から歩いて下りて轟の水に行った。」という私の20数年前の記憶と「ここから行けそう。」という U さんの感を頼りに少し下ると、黒いフェンスが見えごうごうという水の音が・・・「轟の水」発見。「京都自然200選」に選ばれている大きなモミの木(幹周り483.5cm)の根元から、水が湧き出ている。(シートがかけてあるので見えないが、きっとそのはず)バルブを回すと冷たい水が勢いよく出てきて、「顔を洗ったらいい気持ち。」という U さんの言葉に誘われ私も顔に水をかけてから、眼鏡をしていたことに気が付いた(><) 苔むした大なモミの木と谷間に響く水の音・・・信心のない私でも、心が洗われていく気がした。

ここからは、時々倒木のある参道を下る。日陰になって気持ちがいい。深山林道が見えるところまで歩き、「ここをまっすぐ下りてみよう。」というU さんの直感的な言葉で道なき道を下りると、なんとロープが出現。どうやら、これが登山口への正式ルートだったようだ。鹿倉山の登山口は他にもあり、この正面谷コースにも「地獄尾根コース」や「鉤掛越コース」などバリエーションがあるが、登山道のはっきりしないところもあるようなので注意が必要である。
そんなこんなで、「福知山親名山」8座目は無事に楽しく終了!!一緒に行ってくださったSさん、Uさん、ありがとうございました。

轟の水にまつわるお話

今から400年ほど前のこの村は、田にかける水が十分なく、日照りが続くと谷川の水はすぐになくなっていました。田植えの季節になっても水がなく困り果てていたある年、村人たちが雨乞いをする中、この地に住む次郎左衛門は、鹿倉山の頂上に登り一心に祈りました。

夜が明けるとあちこち探しましたが水はなくぐったりと疲れて頂上の岩に帰ることを繰り返し・・・一週間目のこと。次郎左衛門を呼ぶ声に導かれモミのところまで来るとかすかに水の音が!!夢中で掘り続け、最後に大きな石を掘り起こすとその穴から水があふれ出てきました。

次郎左衛門は、苦心に苦心を重ねて田に引くための溝を作り、3年目に水が通うようになりました。次郎左衛門は、これを機に「水口」の姓を与えられました。水口次郎左衛門は、元禄元年8月21日86歳で轟の水を末期の水としてあの世の人となりました。

reported by M