捜索救助担当(警察)に遭難対応についてお聞きしました。

京都府勤労者山岳連盟『労山ニュース』より転載しました。
連盟の遭難事故対応担当者が地元警察の捜索救助担当部署で伺ったQAとなります。

連盟救助隊 地元警察署(右京)訪問報告

今後の京都府連盟救助隊活動に生かすために救助隊の立場で右京警察署に警察の遭難救助要請後の対応を伺いに訪問しました。訪問内容が各会で参考になれば幸いです。右京警察署の回答は右京警察署管内限定です。括弧内は訪問者追記分です。

訪問日:9 月 5 日
訪問者:救助隊事務局 2名
対応者:右京警察署地域課 2名
訪問目的:警察の遭難救助後の対応を教えて頂いて、

・京都府連盟、及び、連盟救助隊の遭難対応方法を見直す。
・遭難救助要請者、遭難山岳会、遭難者家族の対応方法を会員に周知する。
・今回を契機に今後、京都府勤労者山岳連盟会員、及び、会員の知人等が遭難した場合に右京警察署と情報共有ができるようにする。

 

登山者

Q1.遭難救助通報は 110 番とか 119 番とではどちらがベターですか? 110 番通報と119 番通報ではどのような違いがありますか?

捜索救助担当

110 番通報は警察本部通信指令センター、119 番通報は京都市消防局消防指令センターにつながる。
110 番通報があったら内容に応じて所轄警察署に連絡を行う。(消防も警察に同じ) 110 番も 119 番も(GPS 機能を有効にしていれば)発信場所のおよその位置が特定できる。

 

登山者

Q2.警察署と消防署はどうのように連携して捜索救助にあたられますか? 

捜索救助担当

110 番通報、119 番通報があれば互いに情報伝達、情報共有、活動連携を行う。
現地出動やヘリ出動をどちらで行うか、双方で行うかは警察と消防の協議の上で決める。
 

 

登山者

Q3.遭難者から遭難救助要請(110 番通報)があったらどのようなことを聞かれますか? 

捜索救助担当

山をやっている者が思う当然な内容を聞く。氏名、年齢、住所、現在位置、現在の状況、ケガの有無や状態、何人いるか、服装、持ち物、入山箇所、山行ルート、食糧等々。
(服、リュックの色、車種、登山計画書提出有無、提出先、緊急連絡先、留守宅なども聞かれると思う)

 

登山者

Q4.遭難者から遭難救助要請(110 番通報)があったらどのようなことを指示されますか?

捜索救助担当

一番は通報した場所から動かない。山を良く知っている者ほど通報してから動いている。動いたら捜索に行ってもその場所にいない。動くと体力を消耗する。
携帯の電池を消耗させないようにする。あちこちに電話をしないは当然。その他、その場の状況に応じて指示する。

 

登山者

Q5.遭難者の家族等から遭難救助要請があったらどのようなことを聞かれますか? 

捜索救助担当

山をやっている者が思う当然な内容を聞く。遭難者に聞くことに準じて聞く。
(家族しか知りえない情報を聞くと思う。服やリュックの色、登山計画書提出有無、提出先、入山交通機関、車の車種、色なども聞かれると思う)

 

登山者

Q6.遭難者から「下山できないのでビバークする。救助を行う時は改めて連絡する」
等の情報連絡だけの 110 番通報でも良いですか?

捜索救助担当

情報提供でも良い。110 番通報して警察と相談してほしい。 

 

登山者

Q7.遭難救助要請は本人または本人家族からでないと受け付けられませんか? 

捜索救助担当

遭難救助要請は誰からと言うより、とにかく 110 番通報して警察と相談してほしい。警察で通報内容を検討して対応する。 

遭難救助要請と捜索願いとは別である。捜索願いは原則として家族や親族が提出し書面で受け付ける。捜索願いを出す場合は顔写真を持ってきてほしい。

京都府警は災害救助犬(「災害救助犬ネットワーク」参照)で捜索が出来る。遭難者の匂いがある身に付けていた物、靴や洗濯をしていない服等を持ってきてほしい。

 

登山者

Q8.行方不明遭難者の捜索は何日くらいされるのですか?  

捜索救助担当

その時の状況による。1 週間以内の場合もあるし、1週間以上の場合もある。 

 

登山者

Q9. 通常、登り口にある登山届はどのように整理されていますか? 

捜索救助担当

京都府警は個人情報保護の観点から登山口に登山届の箱は一切設置していない。(これは知らなかった。なるほど京都府管内には登山届箱がない) 

京都府警管内での登山届は「京都府警インターネット登山計画書提出システム」(府内外を問わず登山日の約 1 週間前までに提出)「コンパス登山届」(京都府警と閲覧協定締結済み)で提出するか、警察本部地域部機動警ら課企画運用係、最寄りの警察署、交番又は駐在所へ持参、郵送してほしい。
(警察本部、警察署、交番、駐在所に提出された登山計画書の処理方法を聞けば良かった)

 その他

    • 警察は夜間は捜索しないとは限らず、状況によって夜でも出動しています。
    • 「犯罪・画像通報システム」(ネットで検索して下さい)の紹介を受けました。
      携帯電話等のカメラで撮影した画像を送信することにより、画像に添付される位置情報から撮影場所の緯度、経度が確認できるシステムです。遭難状況を画像で送れ遭難位置の特定もほぼ正確にできるので遭難時に役立つと思います。
    • 警察の対応は上から目線ではなく、とてもていねいな対応で好印象でした。警察署退所時に玄関を出てから一礼したらお二人とも元の場所におられ挨拶を返されました。警察も普通の会社と変わらないなと感心しました。