取立山から谷峠縦走 【北部合同雪山】

日時:2020年2月24日(月)

  • 山行目的:嶺北の山の積雪期の縦走 ラッセル体験
  • 参加者:丹後山の会(2)、福知山山の会(3)、山遊会(1)
  • コースタイム:国道駐車場6:52 ➡ 夏山登山口 8:08 ➡ 取立山(1,370m)9:45 ➡ 取立平避難小屋10:36 ➡ こつぶり山(1,264m)10:53 ➡ 護摩堂峠12:35 ➡ 護摩堂山(1,152m)12:54 ➡ 谷峠14:45 ➡ 谷トンネル出口15:33
  • 行動時間:8時間40分 距離12㎞ 上り910m 下り823m

レポート 山遊会T.N

山行報告

当初は、取立山から大長山縦走(テント泊)を計画していたが、今年は雪が少なくこの時期になっても雪が締まっていないことや計画した日程中に雨も予想されるということで、ルートを変更し、日帰りの計画にした。この日帰り縦走コースは、昨年微熱を押して登り、取立山の山頂で引き返した苦い経験があり、パートナーに迷惑をかけた。今回は、自分がリーダーでもあり、何としても成功させたいと思っていた。雪の状態と当日の天気が成否を分けると思い、取立山(1月22日)、荒島岳(2月4日)、銀杏峰(2月19日)へ下見を兼ねて、雪山歩荷トレをし て当日を迎えた。

積雪・気象条件

気象庁のデータ・積雪の深さでは、2月15日の時点で50㎝から1m。近くのスキー場・スキージャム勝山のデータでは、1m。15日~16日で20センチ下がり、17日から18日で40㎝新たに積もり、21日には10センチ下がっている。23日も弱い冬型の気圧配置だったが、雪がぱらついた程度だったようだ。今回の縦走は、トレースの状況、積雪の深さと雪質によって成否が決まると考えていたが、絶好の条件に恵まれての山行となった。24日当日、風はなく快晴。眺望もクリア。気温も上がり、歩きだ すとすぐ汗が噴き出し、衣服調節が必要なほどの天気だった。

山ルートとルートファインディング

国道の駐車場からツボ足でトレースをたどりながら、登った。夏道の駐車場までで3か所、そこから尾根までの登りで少しのショートカットができた。トレースを活用でき、ショートカットが数箇所出来たことで、順調に取立山山頂まで登れた。
山頂で白山の雄姿を堪能し、ワカンを装着し縦走コースに入った。トレースは、一気に薄くなり、数人が歩いた跡だけになった。避難小屋の手前で不用意にトレースをたどり、引き返す破目に。数mであったが、この経験が周回コースでの注意深いルートファインディングとして生かることになった。安易にテープやトレースを追うのではなく、最良のルートを自分たちで判断して進むことの大切さを教えられた。

こつぶり山から先は、先行された二人のトレースのみ。進行方向左手のから谷と石川県側の針葉樹・杉の植林を意識しながら護摩堂峠をめざした。地図にない林道が度々出てきたが、コンパスで進行方向を確認し、地図と目の前の地形を照らし合わせながら進んだ。未知のルート。地図を頼りに突破することには、ワクワクドキドキする楽しさがあった。

峠から標高差80mあまりを登り切って護摩堂山へ。ここは迷うようなルートではないが、なぜか赤テープが多くあった。護摩堂山山頂手前からの白山は、最も迫力のある姿で鎮座していた。護摩堂山には、たくさんのトレースがあり、国道から直接登ってくる人が多いらしい。はっきりしたトレースがある山頂の反射板の下をくぐって尾根を下ろうとしたとき、右側にもう一つ尾根があることに気づいた。我々がめざす谷峠への尾根は、どっちなのか。ヤマップのGPSで現在地の確認をするなど慎重に検討し、谷峠への尾根は右側の細い尾根であることがはっきり した。左側のコースは、当初ショートカットのルートとして考えていた護摩堂谷と、おいの水谷の間の広い尾根でスキーの人がよく使うコースだった。

959mのピークの手前から林道に入り谷峠へ。ショートカットできそうな尾根が見つからず、最後まで林道を下って、谷トンネルの出口へ。雪が少なくなり、トンネルの上あたりでワカンを外し、ツボ足で、早朝廻しておいた車の駐車場所へ急いだ。

展望の良い場所

取立山からの雪の白山は、何度も見てきたが、今回は、こぶり山と護摩堂山からも白山の雄姿を見ることができた。どの山からの白山 の展望が見事か甲乙つけがたいが、白山全ドカンと迫力をもって迫ってくるのは護摩堂山からの展望だ。護摩堂山からは、加賀大日の真っ白な山容も美しかった。取立山への登りで、背後にみえる勝山の市街地や越前大日の眺望も秀逸。日帰りで、多くの人が取立山に登ってくるのは、やはりこの山から見られる真っ白な白山が魅力なのだろう。もちろん、私もその一人で、嶺北の雪山にはまるきっかけを作ってくれた山だ。

縦走の成功と山行時間の管理

今回の山行では、CLということで3点を考えていた。①メンバーの状況を把握しながら、自分が安定した歩きをる。②先頭でルートファインディングを確実に。③時間の管理に気をつけ、縦走が可能か判断する。今回の山行では、日帰りで取立山から谷峠まで縦走するロングルートで、かつルート経験者がいないということで、「取立山往復」「こつぶり山から引き返す」「護摩堂山から国道へ下山するエスケイプルート」などの選択肢を考えていた。

『7時国道駐車場スタートで、取立山頂上10時ならトンネル出口の駐車場に14時頃には着くだろう。遅くても15時なら不安もない。』こんな山行時間の管理を考えていた。トレースにも助けられ、9時45分 取立山。快晴で展望が抜群。やや長い休憩になったが、ワカンを装着しての歩行がちょうど歩きやすいくらいの雪の沈み方で、気持ちよく歩けた。こつぶり山から先もやぶ漕ぎの不安がなく歩けたので、この時点から予定のコースを縦走する判断をした。

下山後、コースタイムの記録を確認してみると、取立山山頂だけでなく、こつぶり山、護摩堂山での休憩がかなり長くなり、下山時刻が遅くなったことが分かった。穏やかな天気と景色の素晴らしさについ…。反省材料の一つとなった。