雲を紡ぐ  ~四季折々の空と雲の表情、会員の投稿写真~  【舞鶴山遊会】

 舞鶴山遊会の機関誌「分水嶺」で2022年3月号から11号まで「天気のふしぎ」というシリーズで、空や天気にまつわる数々のエピソードを取り上げてきました。その中で、特に天気を決めている雲は興味深く、雲があるから空は豊かで美しい表情を見せてくれます。山を歩いている時や普段の生活の中で会員たちが見つけた、そんな空と雲の世界を紹介していきます。

 春の雲  ~ 春、光の季節 春うららと嵐 ~

 「春は光から」というように、太陽の光が強くなる季節。また暖かくなると水蒸気が増え、空がもやもやして、花粉や黄砂が飛ぶこともあり、薄い青い空が広がりやすい。そして強い日射しと冷たい空気によって、急に雷雨が起こるのも春の特徴。うす雲やしとしとと降り注ぐ雨も春に多い。

夏の雲  ~ 夏、暑の季節 日本の夏は高温多湿 ~

日本の夏は梅雨で始まる。晴れていると、日射しでわた雲が発生し、入道雲が成長しやすい。午後から夕方にかけては、晴れていた空が急に暗くなって大粒の強い雨が短時間に降り、雷も起こることがある。周りが海ということもあって、南国のように高温多湿な夏。

秋の雲  ~ 秋、色の季節 澄んだ青空 天気の変わりやすい季節 ~  

 秋は上空を偏西風が強く吹くようになり、低気圧と高気圧が交互にやって来て、天気が移り変わる。高気圧におおわれると雲ひとつない晴天で気持ちいいが、雨の後は冷たい空気がやってくる。

冬の雲  ~ 冬、寒の季節 日本海側は雪、太平洋側は晴れ ~

 冬の日本列島の天気の違いは極端。冬型の気圧配置になると、日本海側の高い山では雪が降り続き、太平洋側の平野は雪の少ない晴天になる。灰色の薄暗い日本海側に対して、太平洋側はカラッと晴れてまぶしい太陽が出ている。

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朝焼け・夕焼け

「朝焼けは雨」とはよくいわれることだが、うろこ雲やすじ雲などよる美しい朝焼け雲の時は晴れることも多い。夕焼け空は太陽が沈む西の方角が晴れている証拠。日本では西から天気が変わることが多いので、夕焼けは翌日の晴れを約束している。

 濃紺の天幕のような空。上空には、まだいくつかの星が輝いている。しかし、幕の裾の辺りに視線を落とせば、パール色に輝く液体をすいあげたような光が横向きに長く広がっている。パール色が徐々に広がっていく。同時に、幕の下には雲海が広がっていたことを知る。やがて、パール色の裾ごと幕が上がり、その隙間からオレンジ色の球体が顔をわずかにのぞかせた。その瞬間、海も天幕も色を変える。虹の色の暖色だけを混ぜ合わせてできるさまざまな色が、海のあいだを漂い、眼下まで迫ってくる。一番強いオレンジ色だけ、幕に吸い上げられて行く。温かい。球体はまだその姿の半分も見せていないというのに。

湊かなえ著 「残照の頂き」より

雲海

 雲海の下では空一面が雲でおおわれ、弱い雨が降っていることもある。しかし、高い山などに登れば、雲の上は太陽が当たり、晴れわたっている。
 500~1500m付近の層積雲が雲海となりやすいが、霧や地表近くの層雲も雲海となることがある。

富士山・海外の山そして雲

 日本一の富士山からは、日本一変化に富んだ素晴らしい空が楽しめる。雲はだいたい上空12㎞程度の高さに存在している。富士山はその3分の1程度の高さなので、下層雲は眼下になり、中層雲は山頂付近に存在する。山頂は夏でも平均気温が5~6℃と低く、いろいろな雲が様々な表情を見せてくれる。

 空の美しい日には、白い雲も眺めてみたいものです。刻一刻と一瞬で表情を変えてゆくその存在は一回限りだからこそ、ドラマチックであり臨場感にあふれています。四季それぞれ、場所、そして時刻によって千差万別な姿を見せる雲。
 時には空を見上げてみるのも、いいことだと思います。心がすがすがしく開放されていくようで。